ミュンヘン旅行を計画する決め手になったのひとつが、ミヒャエル・エンデでした。『モモ』『はてしない物語』など、子どもの頃に読んだ物語たちの作者です。
調べてみると、エンデのお墓はミュンヘン市内の静かな墓地にあるとのこと。観光地巡りとは違うけれど、「モモ」を愛読する自分にとって、とても意味のある場所に思えました。
エンデが眠る場所、ボーゲンハウゼン墓地へ

ミュンヘン中心部からは南西にあるボーゲンハウゼン墓地へは、地下鉄U6線でアクセスできます。
「Marienplatz(マリエン広場)」からは8駅、「Holzapfelkreuth(ホルツアプフェルクロイト)」駅で下車します。
そこから大通り沿いに徒歩10分ほど歩くと、ミヒャエル・エンデが眠る「ボーゲンハウゼン墓地(Bogenhausener Friedhof)」の広大な緑地が見えてきます。
ゲート付近には花屋のワゴンがあります。供花のために1輪購入。
212番区画、エンデの世界観

エンデのお墓は212番区画にあります。現地の地図で場所を確認しながら向かいましょう。
墓地内は緑が多く、穏やかな空気が流れています。観光客の姿はなく、人通りも少ないため、とても静か。リスがすぐそばを駆け抜けていく姿にも出会えました。
ゲートから10分ほど歩いたあたりで、ひっそりと、けれどどこか温かみのある墓石が見つかりました。彼の作品を想起させるようなモチーフが、そっと装飾されています。
怖さや寂しさといった感情は湧かず、むしろ静けさの中に清らかさを感じる場所でした。
子どもの頃はただワクワクしながら読んでいた『モモ』。
「時間を大切にすること」「本当に大切なものは目に見えないこと」——。
その言葉の意味が、大人になった今、この場所でゆっくりと身体にしみ込んでいくような感覚を覚えました。
物語と再会する旅へ
にぎやかな観光地を歩くのも楽しいけれど、ときには「静かに誰かに会いに行く」ような旅も、自分を見つめ直すきっかけになります。
ミュンヘンには美術館や歴史的な建物もたくさんありますが、こうした“静かな目的地”を旅の中にひとつ加えることで、時間の流れが変わります。
物語をはじめて読んだあの頃の自分と、少しだけ会話ができるかもしれません。
墓地内は木が多く、人影もまばらなため、心配な方は日中の明るい時間帯に訪れることをおすすめします。