京都では3月になると、お寺で伝統行事の「涅槃会(ねはんえ)」が開催されます。これは、お釈迦様が涅槃に入られたことを追悼し、供養する大切な行事です。数ある京都のお寺の中でも、真如堂、泉涌寺、東福寺の涅槃会では、特に大きな涅槃図が公開されることで知られています。
真如堂の涅槃会と「花供曽」

真如堂では、彼岸会の期間中に伝統的な和菓子「花供曽(はなくそ)」をいただくことができます。この花供曽はあられ菓子で、京都の老舗和菓子店「田丸弥」のものです。田丸弥の花供曽は、黒砂糖をまぶしたほんのり甘く香ばしい味わいが特徴。真如堂では涅槃会の期間中しか振る舞われませんが、田丸弥の店舗や四条寺町の「御旅」にある土産物店では、季節を問わず購入できます。
田丸弥といえば、銘菓「白河路(しらかわじ)」も有名です。胡麻の香ばしい風味が京都で昔から親しまれているので、こちらもぜひ試してみてはいかがでしょうか。

泉涌寺の涅槃会と「花供曽」

泉涌寺でも「花供曽」がいただけます。こちらは醤油味のあられに黒豆が入ったタイプ。泉涌寺の涅槃図は非常に大きく、まっすぐ伸ばして飾ることができないほどだそうです。
この涅槃図が公開されるのは、3月14日から16日までの3日間のみ。この貴重な機会をお見逃しなく。

京都の春の趣を
涅槃会が行われるのは3月、春のはじめの頃。お寺の境内を歩くと、桜の蕾が膨らみ始めていて、心がじんわりと温かくなるのを感じます。
京都の春は、桜の美しさだけでなく、こうした伝統行事や心温まる和菓子など、多様な魅力にあふれています。
この春はぜひ京都を訪れて、心に残る素敵な思い出を作ってください。