京都といえば、伝統と歴史が息づく街並みや美しい庭園が有名ですが、実はその奥深くには知る人ぞ知る魅力的な美術館が点在しています。今回は、京都を訪れる旅行者の方々に、ぜひ足を運んでいただきたい穴場の美術館をご紹介します。
観光客が少ない穴場スポットで、一味違う京都を体験できますよ!
河井寛次郎記念館│民芸運動の中心になった陶芸家の情熱
陶芸家、詩人、造形作家など様々な顔を持つ河井寛次郎。昭和12年に自ら建てた自宅が記念館になり、公開されています。
当時のまま残されている家具や調度品は、河井寛次郎自身が作成、あるいは収集したもの。独自の世界観や表現力が反映されています。また、実際に使用していた登り窯も見ることができます。
館内には彼の作品のみならず、民芸運動に関する展示も行われており、彼の芸術に対する情熱と才能を垣間見ることができます。民芸に興味がある方や、芸術家の情熱と才能に触れたい方におすすめです。
河井寛次郎記念館│アクセス
近くのランチスポット│半兵衛麩で雰囲気抜群ランチ
半兵衛麩は、老舗の京麩・湯葉の専門店。京阪清水五条にある茶房では「むし養い」というお麩を使ったランチをいただけます。「むし養い」とは、京言葉で「お腹の虫を養う軽食」の意味。雰囲気ある京町家で、丁寧に作られた料理を堪能できました。
また、近くのショップの2階にはカフェがあり、こちらではオープンな雰囲気で、鴨川を眺めながら食事をいただけました。ゆっくり過ごしたい方におすすめしたい場所です。
堂本印象美術館│画家自ら設計・デザインした美術館で世界観に浸る

堂本印象美術館は、日本の現代アーティストである堂本印象のコレクションを展示しています。堂本印象の作品は、力強い筆致と繊細な表現が特徴。独自の視点から捉えた風景や人物が描かれており、色彩と表現の美しさや奥深さを堪能することができます。
建物は堂本印象自身がデザインしたもの。世界観を堪能することができます。
堂本印象美術館│アクセス

関連おすすめスポット│苔寺
苔寺の本堂には、堂本印象による襖絵が飾られています。緑に囲まれた静謐なお寺の中に堂本印象の抽象的なデザインがマッチしており、まさに伝統と革新の融合。予約制になっていて、中心部からも離れた場所にありますので、訪問は計画的に。その分、代えがたい経験ができますよ。
ZENBI 鍵善良房美術館│祇園老舗和菓子店プロデュース

ZENBIは京都祇園にあるちいさな美術館。祇園にて「鍵善良房」が創設したアートスペースです。
鍵善は江戸中期の創業以来、干菓子やくずきりで知られ、長年にわたり芸術家や文化人に愛されてきました。ZENBIでは、年に3〜4回の展示替えが行われており、木工作家・黒田辰秋をはじめとする、京都の暮らしに根ざした美が紹介されています。
美術館創設の背景には、歴代当主による芸術への理解と愛情が感じられます。
ZENBI 鍵善良房美術館│アクセス
近くのスポット│祇園をぶらり散歩
祇園界隈をぶらり散歩はいかがでしょうか。
祇園甲部歌舞練場や、建仁寺、高台寺、八坂神社が徒歩圏内です。また、周辺には飲食店が数多くあり、祇園の町家でスイーツをいただいたり、川床のシーズンではランチならリーズナブル。中心地四条河原町に近く、観光プランを立てやすいエリアです。
和久傳ノ森「森の中の家 安野光雅館」│和久傳×安藤忠雄×安野光雅
料亭として有名な「和久傳」がプロデュースする和久傳ノ森「森の中の家 安野光雅館」。京丹後市久美浜町にある美術館で、画家・絵本作家として知られる安野光雅さんの世界を堪能できる美術館です。安野光雅の繊細で優しい水彩画を中心に、3か月ごとに企画展示が行われています。代表作『旅の絵本』『天動説の絵本』なども展示されることがあります。
安藤忠雄氏による設計で、森に溶け込むような静謐な佇まい。杉板張りの外壁や自然光を取り入れた展示室が特徴です。
敷地内には、地元・丹後の食材や森で育てた野菜を使った料理が楽しめるレストランがあり、「MORIセット」や「れんこんうどん」「季節の釜炊きご飯」など、和久傳ならではの美味が揃っています。テラス席では森を眺めながら食事も可能。ペット連れもOKです(リード必須)。
和久傳ノ森「森の中の家 安野光雅館」│アクセス
近くのスポット│久美浜にステイ。経由地によって城崎温泉や天橋立へ
久美浜には、セレクトショップ「Bshop」が手がけるコンセプトホテル〈HOLIDAY HOME〉があり、洗練されたホテルステイを楽しめます。久美浜湾に沈む夕景は格別で、サップなどのアクティビティも人気です。さらに、海の幸・山の幸・果物などの食材が豊富で、美食を堪能できるのも魅力のひとつ。
アクセスは京都駅からJRを利用し、豊岡または峰山を経由するルートがあります。
- 豊岡経由(特急「きのさき」)の場合は、「城崎温泉」での一泊もおすすめ。温泉街の風情と外湯巡りが楽しめます。
- 峰山経由(特急「はしだて」)の場合は、日本三景のひとつ〈天橋立〉での観光も
樂美術館│茶の湯に欠かせない千家十職樂家の茶碗たち

表千家や裏千家、武者小路千家のほど近く、西陣にある楽美術館は、樂焼の作品を専門に展示する美術館です。歴代の当主が手掛けた茶碗を中心に、貴重な樂焼のコレクションを鑑賞できます。
茶の湯の精神性や、手のひらに収まる小さな器の中に込められた無限の宇宙を感じることができます。
樂美術館│アクセス
近くのスポット│地下鉄烏丸線の京都らしいカフェ3選
・YUGEN(丸太町駅徒歩3分/樂美術館から徒歩21分)
抹茶と和菓子を堪能できる、日本茶専門店。 店内のディスプレイから自分の好みの茶碗を選び、目の前で丁寧に点てられる抹茶を楽しめました。 洗練された空間で、あたたかいスタッフの方に迎えられ、何度でも訪れたくなる魅力が詰まっています。
・パンとエスプレッソと京と(丸太町駅徒歩8分/樂美術館から徒歩18分)
京町家を改装したベーカリーカフェ。カウンター・テーブル席の他に畳席があり、中庭を眺めて寛ぐことができます。朝8時から営業しているので、観光前のエネルギーチャージに。抹茶メニューも豊富です。
・とらや京都一条店(今出川駅徒歩3分/樂美術館から徒歩8分)
とらやの上生菓子や和スイーツを味わえる、贅沢なひととき。 広々とした店内で、ゆったりとくつろげるスポットです。
白沙村荘 橋本関雪記念館│日本画家の美意識が息づく邸宅庭園
銀閣寺ほど近くの広大な敷地に建つ白沙村荘 橋本関雪記念館は、日本画家・橋本関雪が自ら設計した邸宅兼庭園です。関雪の代表作である日本画が展示されているだけでなく、美しい日本庭園も大きな魅力です。
四季折々の花々が咲き誇る庭園を散策しながら、自然と一体となったアート空間を堪能できます。
白沙村荘 橋本関雪記念館│アクセス
近くのスポット│哲学の道さんぽ
哲学の道は、銀閣寺から熊野若王子神社までつづく疎水沿いの遊歩道です。春には桜、秋には紅葉が楽しめる人気のスポット。哲学の道沿いには、銀閣寺、法然院、安楽寺、永観堂といったお寺があり、さらに歩くと南禅寺まで続いています。
また、「泉屋博古館」や「重森三玲庭園美術館」も徒歩圏内。周辺にはカフェもあり、一日かけて散策できるエリアです。
まとめ│見ごたえ十分な京都の穴場の美術館
京都観光の際に是非訪れていただきたい貴重な美術館です。日本の伝統や現代のアートに触れながら、心豊かなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。